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日本眼科学会雑誌に論文が掲載されました。

お知らせ

名古屋市立大学眼科の安川 力先生の学術論文が、日本眼科学会雑誌の5月号に掲載されました。院長も共著者の一人で、この場をお借りして諸先生に心より御礼申し上げます。

網膜色素変性に対する9-cis-β-カロテン高含有微細藻類Dunaliella bardawil食品摂取の影響

安川 力1, 萩原 章2, 藤巻 拓郎3, 加藤 亜紀1, 村上 晶3, 山本 修一2, 小椋 祐一郎1

1)名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学
2)千葉大学大学院医学研究院眼科学
3)順天堂大学大学院医学研究科眼科学

目 的:網膜色素変性の一部の病態にはレチノイドサイクルが関与していて,11-cis-レチナールの異性体である9-cis-レチナールとその前駆体9-cis-β-カロテンが,白点状眼底および網膜色素変性に有効であると報告されている.今回,我々は,我が国の網膜色素変性患者に対する9-cis-β-カロテン高含有微細藻類Dunaliella bardawil食品の効果を検討した.
対象と方法:本研究は3施設による多施設前向き研究として実施された.対象は,網膜色素変性と診断され眼底観察可能な30例59眼(男性13例,女性17例),年齢は平均値±標準偏差:56.4±14.1歳であった.Dunaliella bardawil食品を3か月間摂取し,摂取前後に矯正視力,Goldmann動的視野(GP),Humphrey静的視野(HFA),網膜電図(ERG)を測定した.GPでは,視野結果をデジタル化のうえ,V-4イソプター視野からI-4イソプターの暗点を差し引いた面積を計測した.HFAでは中心4点の平均網膜感度を,ERGではb波振幅を比較した.
結 果:視力のlogarithmic minimum angle of resolution(logMAR)値は平均0.51から0.48に有意に改善した(p=0.008).HFAによる中心4点の平均網膜感度は平均15.7 dBから16.3 dBに有意に改善した(p=0.034).GPにて測定した視野面積は,平均206,763ピクセルから220,933ピクセルに有意に拡大した(p=0.048).ERGのb波振幅は,平均63.4 μVから56.5 μVにやや低下したが有意差を認めなかった(p=0.109).
結 論:9-cis-β-カロテン高含有微細藻類Dunaliella bardawil食品の3か月投与で,網膜色素変性に対して視力,視野改善効果を示したが,有効性についてはさらなる長期的な無作為化比較試験や,原因遺伝子と視力予後との関連調査が必要である.

日本眼科学会雑誌 122: 372-378,2018

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